今回は横尾氏が東洲斎写楽の役者絵から着想を得、本古来の伝統木版画浮世絵の技法を
駆使し制作された木版画作品<摺れ摺れ草シリーズ>をご紹介いたします。
摺れ摺れ草
は、摺(刷)りのズレと吉田兼好の「徒然草」をかけた造語です。
横尾氏は、2014 年12 月 に東京文化会館で上演された花柳壽輔の舞台にて
美術を担当し、写楽の役者絵をもとに制作したスライドを上映しました。
今回ご紹介する<摺れ摺れ草シリーズ>は、それをさらに発展させ、
木版画としてあらためて制作したものです。
本来、版画の制作工程において「ズレ」はあってはならないものですが、
今回、横尾氏はその「ズレ」をあえて大胆に強調し、
色彩においても不調和を生み出すことで画面を構成しています。
本作品は一つのスタイルにとらわれることなく制作を続けてきた
横尾忠則氏の広い視野が垣間見られる作品です。
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